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「なぜ」を見つける――忙しさの渦中で私なりの意味を再発見する方法

更新日:1月14日

木曜の夜中22時、仕事からの帰り道にまだ仕事から帰っていない夫とのメッセージのやり取りの中でふと思う、「子供を産んだら誰が子供を見るんだろう」


当時の私と夫は、共働きで収入も安定していてそれなりに人生に満足していました。結婚して数年経った頃から家族計画も少しずつ話し合っていた頃です。会話中に薄々感じていた、仕事とのバランスの難しさ。仕事だけで毎日平均的に21時過ぎに帰る二人で家族は保てるのか。


東京のような大都市では、共働きはおよそ66.7%であり、朝から晩まで仕事や予定が詰まっている夫婦を見つけることはそう難しくないと思います。女性だけを見ても、多くの女性が複数の役割を同時にこなしています。社員、起業家、家族のケア、友人との付き合い…。やるべきことは山のようですが、その根本にある「私は何のためにこれをやっているのか?」という問いを見失ってしまうこともしばしば。心が浮いていて、ブレーキが故障した車に乗っている気分。


本文では、こんな忙しさの中でも**「自分のWhy(なぜ)」を見つけることの重要性**について考えてみます。自分の目的や意義を明確にすることで、日々の決断や行動にブレがなくなり、結果として心のゆとりや満足感が高まります。



「Why」が大切な理由


「Why」は、単なる目標やゴールとは少し違います。昇進や売上達成といった定量的な目的だけでなく、もっと深いところで自分を突き動かす「コア(芯)」になるものです。これが曖昧だと、疲れやストレスに押し流されやすくなり、最終的には燃え尽き症候群(Burn Out)に陥ったり、充実感が得られなくなったりします。


いくつかの組織心理学の研究によると、「自分の行動がどのように意義を持つか」を理解している人ほど、仕事満足度やレジリエンス(逆境への強さ)が高いと報告されています。私自身も「何のためにこんなに頑張っているんだろう?」と疑問を持った時、答えがわからない時ほど、モチベーションが落ち込み、不安やストレスを抱えがちになっていました。逆に、自分の根底にある意義を再確認できたときは、多少の忙しさや困難があっても前向きに乗り越えられるのを実感しています。


「Why」を見つけ、日常に活かすための実践ステップ


ステップ1:自問自答の質問リスト

まずは、自分に問いかけるところから始めましょう。

  • 自分が人生で最も大切にしている価値は何か?

  • どんな人の役に立ちたいと思っているか?

  • 自分にとって「やらされている」仕事と「心からワクワクする」仕事の違いは何か?

こうした質問をノートに書き出し、数日間かけて考えてみると、似たようなキーワードや興味が浮かび上がることが多いです。


ステップ2:日本発の概念「生きがい」(Ikigai)

日本の文化的背景から生まれた「生きがい」は、以下の4つが交わる部分だとされています。

  1. 自分が好きなこと

  2. 自分が得意なこと

  3. 社会が必要としていること

  4. 経済的に成り立つこと(対価を得られること)

自分の好きなことと得意なことが一致し、それを活かせる市場やニーズがあるなら、それは「生きがい」に近づいている証拠。大都市特有の忙しさやプレッシャーの中でも、こうした視点を持つだけで、日々の行動指針がより明確になります。


ステップ3:「5回のなぜ」(5 Whys) メソッド

何かやりたいことや目標が頭に浮かんだら、「なぜ?」を5回繰り返してみます。

  1. 「なぜ昇進したいのか?」→「もっと認められたいから」

  2. 「なぜ認められたいのか?」→「自分の能力を評価してもらえていない気がするから」


    …というように掘り下げていくと、本当は「クリエイティブな仕事をしたい」「社会貢献を実感したい」など、最初に思っていた表面的なゴールとは違う根本的な理由にたどり着くことが多いです。


ステップ4:習慣化—日々のジャーナリングやマイクロアクション

「Why」を見つけても、日常の忙しさに流されるとすぐに忘れてしまいがち。そこで、短時間のジャーナリングや「今日は何がよかったか」を振り返る習慣を取り入れてみましょう。わずか5分でも書くことで、自分がどんな瞬間に喜びや意義を感じるのかが明確になり、日常生活を見直すきっかけになります。

また、マイクロアドベンチャーと呼ばれる小さな冒険を取り入れるのも効果的です。たとえば、週末に行ったことのない街や道を散歩してみる、1日30分だけ新しい趣味に没頭してみるなど、ちょっとしたチャレンジが自分の「好き」や「得意」を再認識する手助けをしてくれます。


ステップ5:ゴール設定と周囲への共有

見つけた「Why」を行動に落とし込むなら、目的を数値化・行動化すると継続しやすくなります。たとえば、「創作活動を大切にしたい」と思うなら、「毎週末にイラストを1枚描く」「月に1度はSNSや友人に作品をシェアする」など、具体的なルールを設けるとやりやすいです。

さらに、友人や信頼できるパートナー、SNSコミュニティなどへ自分の目標や想いを共有すると、励ましやフィードバックがもらえ、モチベーションを維持しやすくなります。


現実の課題と克服方法

プロフェッショナルファームで働いていたり、保守的な家族の雰囲気の中で育つと、周囲の価値観や「常識」から外れると浮いてしまうのではないかと不安に感じることもあります。ですが、そこに自分なりの「Why」があるなら、一度立ち止まって自分の選択を再確認する意義は大きいはずです。

  • 周囲の期待や同調のプレッシャー: 他人に合わせようとしすぎると、自分の軸がブレやすい。定期的な自己対話やジャーナリングで、迷ったときこそ「なぜ」を確認しましょう。

  • マルチタスクの罠: いろいろなプロジェクトや役割を同時並行で行う中で、「本来の目的」を見失わないよう、To-Doリストを「目的の優先度順」に見直すと有効です。

  • メンタルヘルス: どんなに「なぜ」が明確でも、心や体が限界を超えてしまったら意味がありません。必要であればカウンセリングや医療機関、電話相談など専門家の力を借りる勇気も大切です。


結論

「なぜ」は、日々忙殺されがちな私たちにとっての北極星のような存在です。自分の軸がしっかりしていると、どんなに慌ただしい日々でも「これをやる理由がわかっている」と思えるだけで心が軽くなります。

今できること:

  • 今晩、「5回のなぜ」を実際にやってみるか、あるいは好きなものリストを作ってみる。

  • その結果をぜひ友人やコミュニティでシェアしてみる。自分の熱意や発見を共有することで、意外な共感やサポートが得られるかもしれません。

忙しい毎日の中にあっても「なぜ」を意識することで、少しずつ行動が変わり、あなたの人生やキャリアに新たな喜びや活力が生まれます。小さな一歩が、「ただのこなす仕事」から「心から納得できる活動」への大きな転換点になるでしょう。


次のテーマ:東京の「ハッスル文化」をどう受け止める?

本エッセイでは、「なぜ」を軸に、日々の行動がブレないためのヒントをご紹介しました。しかし、都会で働く女性の悩みはそれだけではありません。多忙なスケジュールや仕事へのプレッシャーをいかに受け流していくのか――次回は**「東京のハッスル文化と上手に付き合うための具体的な方法」**を掘り下げてみましょう。せっかく見つけた「なぜ」を見失わずに、自分らしく走り続けるためのヒントをお届けします。どうぞお楽しみに!

 
 
 

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